JORM 日本オンコサーミア研究会


患者さまへ

“オンコサーミア”の生物作用とその特徴

古くより、“熱”を持って癌を治すことが試みられてきました。20世紀後半になり、温度(42度以上)により、がん細胞が死滅し、癌治療に役立つことから多くの研究が進みました。その結果、酸性に傾いた癌組織の癌細胞は熱に弱い、放射線に抵抗性を示すS期後半の癌細胞は熱に弱い、抗癌剤と併用すると増強効果がある等の研究成果が発表されました。そして提唱されたのが、癌治療のための温熱療法、“ハイパーサーミア“治療です。そのためのラジオ波、マイクロ波や超音波を用いた加温装置が開発され、比較的大きな腫瘍でも治療できる、放射線や抗がん剤との併用で治療効果が高い、等一定の成績を収めてきました。これについて、日本ハイパーサーミア学会のHP(Q&A温熱療法)をご覧ください。

一方で、ヒトの体は“あまのじゃく”、外から温めようとすると、体は反対に冷やそうとします。大きなエネルギー(例えば、1500Wの電力を入れても)を体に投入しても、無駄が多く、思ったようには温度が上がらないこと、実際の治療では、患者さんも医療スタッフも治療に向けた努力が必要なこと、がわかってきました。そこで、注目されているのが、A. サース教授の提唱された“オンコサーミア”理論です。ラジオ波のインピーダンス・マッチングに留意し、与える電磁波の電圧を変調して、癌組織に与えると、組織学的に不均一な癌組織(細胞)では、表面にエネルギーが集まり、低い電力(150W)でも、癌組織を治療できる内容です。

富山大学に導入されたのはこの“オンコサーミア”治療機です。特徴は、温度は上昇しますが、温度以外の電磁波の効果も治療に利用している、低い電力(150W)使用なので、シールドルームを必要とせず、副作用(火傷等)や、熱すぎて治療がこれ以上出来ないことは極めて少なく、比較的安全に利用できることです。主に、ヨーロッパを中心に使われてきましたが、韓国、中国、台湾などでも使用が広がっています。

副作用が少ない分、この治療だけで癌を治療することは難しいようですが、放射線や抗がん剤との併用で一定の臨床効果を示しています(臨床効果は病気の状態、前治療の状態などに依存します)。電磁波を用いた癌治療はリアルタイムの生体内温度の把握等、まだ課題もありますが、今後のさらなる発展が期待されています。

図1、図2を参照してください。

OTMで細胞の形態変化が激しく(上段)、緑に光る死細胞が多く(中段)、細胞死に関係する遺伝子発現も顕著(赤色の遺伝子)(下段)なことがわかります。G.アンドチ博士の発表より。

オンコサーミアでは、少ない電力で効率的に癌治療に役立つように、電磁波の当て方に工夫している。インピーダンス・マッチング、フラクタル変調、低出力加温等である。